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沖縄の台風で、タクシーは来たのに外は歩けなかった

沖縄の台風の日、タクシーは普通に来たのに降りて歩いたら体が浮きかけたので、出かけるかは車が来るかではなく、バスや行き先の店が動いているかで決める方が安全です。

台風26号が、27日の日曜ごろから沖縄と奄美に近づく見込みです。週末に沖縄にいる人や、旅行や出張で行く予定の人もいると思います。

台風の日の朝、窓の外を見ると、雨はそこまで強くない。配車アプリを開くと、タクシーはすぐ来る。「これなら行けるかも」と思う瞬間があります。

僕はその瞬間に出かけて、途中で動けなくなりました。この記事では、その日に何が起きたかと、あとで調べて分かったことから、台風の日に外へ出るかを何で決めればいいかを書きます。


その朝、タクシーは普通に来た

今年の6月1日、僕は沖縄にいました。台風が来ていることは知っていました。

ただ、僕がそれまで経験してきた台風は、雨が強い、風が強い、少し外が荒れている、くらいのものでした。だから「風が強い日」くらいにしか考えていませんでした。

その日もいつも通り、商業施設に入っているスタバで仕事をするつもりでした。タクシーを呼ぶと、普通に来ました。この時点で、僕の中では「今日も普通の日」になっていました。


開いていなかったのは、スタバだけではなかった

着いてみると、スタバが開いていません。見ると、商業施設全体が臨時休業でした。

正直、最初に思ったのは「大げさだろ」です。歩いている人は少なく、車も少ない。でも僕はそれを、みんなが慎重すぎるだけだと受け取りました。

じゃあ近くのジョイフルに行こう、と決めて、タクシーを降りて歩き始めました。

あとから振り返ると、この時点でもう答えは出ていました。人がいない。店が開いていない。行き先がない。街の方は、僕より先に危ないと判断していたのだと思います。


降りて歩いたら、体が浮いた

歩き始めてすぐ、雨と風が一気に強くなりました。

最初は「まあ大丈夫だろう」と思いました。ところが、どんどん激しくなります。雨は上からではなく、横から来ていました。風はブーブー、ボーボーと音を立てています。

そして一瞬、体が浮きました。

そこで初めて、これはまずいと体で分かりました。久しぶりに走って、ビルの陰に隠れました。少し待てば弱まると思ったのですが、まったく弱まりません。むしろ強くなっていきました。

周りを見ると、ジョイフルも、近くの店も、全部臨時休業です。入れる場所がありません。仕事どころではないので、タクシーを呼んで帰りました。タクシーが動いていたから帰れた、というのが正直なところです。

飛ばされてもおかしくなかった、と今でも思います。考え方や体力でどうにかなる相手ではありませんでした。


あとで知った、あの日の沖縄

帰ってから、あの日の状況を調べ直しました。

沖縄のテレビ局QABの6月1日の報道によると、その日は台風6号が近づいていて、沖縄本島地方などに暴風警報が出ていました。路線バスとモノレールは始発から終日運休。一部の橋や道路は通行止めで、午前11時までには各地で停電も起きていました(QAB)。

僕が一番驚いたのは、次の点です。

同じ報道では、午前9時の時点で、台風の中心はまだ那覇の南南西およそ190kmにありました。最も近づくのは午後の見込みでした。

僕がタクシーを呼んで、外で体を浮かされて、帰ってきたのは、その日の午前中です。台風が一番近づく前に、もう外は歩ける状態ではなかったことになります。

つまりあの日、バスもモノレールも止まっていたのに、タクシーだけは僕の前に来ていました。僕は「タクシーが来た」ことを「出かけていい」と読み違えていました。


タクシーが来ることは、なぜ合図にならないのか

ここからは僕の解釈です。

沖縄の路線バスは、主なバス会社4社が話し合って、運行を続けるか止めるかを決めます。止めるときは「何時以降に出発する便から運行中止」という形で、テレビなどを通して発表されます(東陽バス「台風時の運行取扱いについて」)。

つまりバスが止まるのは、町全体としての判断です。商業施設の臨時休業も、同じように施設ごとに判断されたものです。

一方で、タクシーは一台ずつ動いています。車に乗っている間は、風や雨から守られています。タクシーが来たという事実は、「車で移動できる」ことしか教えてくれません。

危なかったのは、車を降りてから建物に入るまでの間でした。そして行き先が閉まっていれば、その間がいつまでも終わりません。僕が浮いたのは、まさにその時間です。

気象庁の「風の強さと吹き方」の表では、平均風速15〜20mで「風に向かって歩けなくなり、転倒する人も出る」、20〜25mで「何かにつかまっていないと立っていられない。飛来物によって負傷するおそれがある」とされています(気象庁)。

あの朝、僕がいた場所の風速は分かりません。それでも、表の言葉は大げさではないと感じました。「立っていられない」は比喩ではなく、そのままの意味でした。


今週末、沖縄にいるなら

日本気象協会の9月24日夕方の解説では、台風26号は今後発達して強い勢力になる見込みで、宮古島地方は27〜28日、沖縄本島地方は27〜29日にかけて影響が出るおそれがあるとされています(tenki.jp)。進路は変わることがあるので、出かける前には気象庁の最新の情報を見てください。

僕が今、台風の日に出かけるかを決めるなら、次のどれか一つでも当てはまったら外に出ません。

  • 自分がいる地域に暴風警報が出ている
  • 路線バスやモノレールの運休、または「何時以降は運休」という発表が出ている
  • 行き先の店や施設が臨時休業を出している

反対に、次のことは「出かけていい」の根拠にしません。

  • タクシーや配車アプリで車が来る
  • 窓から見た今の雨や風が、まだ弱い
  • 本土で経験した台風では大丈夫だった

3つの合図は、前の晩から見られる

あの朝の僕は、3つの合図のどれも確かめていませんでした。判断の材料は「タクシーが来た」ことだけです。

でも実際には、どれも見られる場所がありました。

暴風警報は、気象庁のサイトの「警報・注意報」のページで、市町村ごとに出ているかどうかが分かります。スマホの防災アプリや天気アプリでも、警報が出たら通知が来るように設定できます。

バスの運休は、先ほど書いた通り、バス会社がテレビなどを通して「何時以降の便から運行中止」という形で発表します。各バス会社や沖縄県バス協会のサイトにも運行状況が載ります。

店の臨時休業は、一つずつ公式サイトを見て回らなくても、地元の新聞がまとめてくれることがあります。あの台風6号のときも、沖縄タイムスは「沖縄の大型店舗や施設、交通機関の臨時休業まとめ」を随時更新で出していました(沖縄タイムス)。琉球新報にも、交通機関やスーパーの臨時休業をまとめた記事がありました(琉球新報)。

あの朝、タクシーを呼ぶ前にこうした一覧を1回見ていたら、行き先が開いているかどうかを、家を出る前に確かめられた可能性が高いと思います。少なくとも、タクシー代を往復で払って、横殴りの雨の中を走ることにはならなかったはずです。

沖縄に住んでいる人にとっては当たり前のことかもしれません。ただ、旅行や出張で数日だけいる人は、地元の新聞を見る習慣がないことが多いと思います。

どうしても出る用事があるなら、行き先が開いていることを先に電話や公式サイトで確かめて、建物の入口のすぐ前で乗り降りできるかを考えます。降りてから歩く距離が長いほど、あの朝の僕に近づくからです。

あの日の沖縄では、午前中のうちに停電も起きていました。前の晩のうちに、スマホとモバイルバッテリーを充電し、食べるものと水を部屋に置いておく。台風の日の判断は、当日の朝ではなく前の晩に済ませておく方が、迷わずに済みます。

これは僕が1回、1つの台風で経験したことです。台風ごとに強さも進み方も違いますし、ホテルや住まいの建物の造りによっても安全な過ごし方は変わります。最後は気象庁や自治体の情報に従ってください。

それでも、「タクシーが来たから大丈夫」と思って出かけた人が、降りた先で何も開いていなかったら、戻る手段がタクシーしかありません。僕はたまたまそのタクシーが来てくれました。次の人も同じとは限らないので、この日のことを書いておきます。

もとになった僕の記録はこちらです。