キングオブコントの国民投票は、もっと増やしていい

キングオブコント2026で初めて視聴者の国民投票が入りましたが、プロと観客の評価がずれる場面を何度も見てきた僕は、観客が決める枠をもっと増やしていいと思っています。
10月17日の夜、キングオブコント2026の決勝がありました。優勝はジェラードンです。1本目も最終決戦も671点、合計1342点で、蛙亭とヤッホイを抑えました。
ただ、僕が今年いちばん気になったのは、夜の決勝より、その前に行われた敗者復活戦のほうでした。決勝の1枠を、テレビの前の人たちが決めたからです。
決勝の1枠を、視聴者が決めた
今年のキングオブコントは、19回目にしてルールを大きく変えています。決勝の審査員は、去年までの5人から7人に増えました。もう一つが、史上初の敗者復活戦です。
流れはこうです。準決勝で落ちた組のうち上位10組が、もう一度ネタをします。それを準決勝・準々決勝まで進んだ芸人60人が採点して、上位3組まで絞ります。最後の1組は、スマホからの国民投票で決まります。投票にはTBS IDの登録が必要でした。
その投票で決勝に上がったのが、スパイシーガーリックです。決勝の1本目では、最終決戦の3組には入りませんでした。
同じ組を、芸人60人が通して、視聴者が選んで、決勝の7人が別の順位をつけました。物差しが替わると順位も替わる、というのが1日の中で全部見えたのが、僕には面白かったんです。どれが正しいという話ではありません。誰が評価するかで結果が変わる、という当たり前のことが、ここまではっきり画面に出るのは珍しいと思いました。
プロが評価する構図が、腑に落ちていない
僕は10月12日に、自分の記録にこう残していました。
YouTubeでも番組形式のオーディションが増えていて、何人かのプロが審査員になって応募者を評価しています。でもコメント欄では「なんでこの人が落ちたの」「この人は通過させるべきでしょ」という声が出ています。再生数にも差がはっきり出ているのに、決めるのはプロの判断なんです。制作側と観客側で、ミスマッチが起きているんじゃないかなと思いました。
プロが魅了している相手は、基本的に素人の観客です。プロは技術や細かいところを見て評価できます。観客のほうは、アニマルスピリッツで見ている人が多いんです。本能とか直感です。それって、基本的に結構正しいんですよね。アニマルスピリッツが動いた総数が、そのまま再生回数や売り上げになって出てくるわけですから。
だから僕は、プロはあくまで提供者であって、評価者になるべきではないと思っています。そのプロを評価しているのも、結局は素人ですからね。
格闘技でも、同じずれを見た
この見方は、3月にブレイキングダウンを見ていたときにもう出ていました。
ブレイキングダウンは最初、「あんなの格闘技じゃない」「お遊びだ」とめちゃくちゃ叩かれていました。しかも叩いていたのは、素人ではなくプロの格闘家です。観客のほうはそこまで叩いていなくて、戦っている姿が面白い、という見方でした。祭りで喧嘩が起きたら人が集まるのと同じで、市場を作っているのは観客なんですよね。
プロの格闘家は、その舞台で戦うアスリートです。市場を評価する立場とは違います。そこにはプライドもあります。
格闘技の判定も、いつも「あの判定はおかしい」という話になります。ポイント制と言いながら、外からは検証できないからです。それなら勝ち負けはオーディエンスに決めてもらうか、何が何ポイントかを明確に決めておいてAIに判定させればいいんです。検証できるようになれば、揉め方はかなり変わると思っています。
自分の仕事でも、軸は受け手に置いている
これは他人の番組に文句を言いたいだけの話ではなくて、僕が自分の仕事で使っている物差しでもあります。
僕はショート動画を作っていますが、数字の調子が悪いときにやるのは、詳しい人に意見を聞くことではありません。自分が見る側に戻ることです。ショート動画をひたすら見て、どこで手が止まって、どこで飛ばすのかを体に入れ直します。提供者は最大の消費者でないといけない、と思っているからです。受け手の気持ちになって初めて、提供ができます。脳みそが溶けそうになるので、これが結構きついんですけどね。
プロの意見は参考にします。技術の話なら、詳しい人のほうが圧倒的に正しいことも多いです。ただ、それを意思決定の軸にはしません。YouTubeは視聴者がいるから成立するし、格闘技は観客がいるから成立します。センターピンを配信者やプロの側に置くと、全部ぶれるんです。
投資でも同じことを感じています。株のプロは勝ってきたからプロなのであって、最初からプロだったわけではありません。過去の成功体験が積み上がって、それが権威になります。だから新しい市場が出てくると、過去の事例に当てはめて考えがちです。AIの市場をインターネットの初期と同じように語る投資家もいますが、僕は全然違うと思っています。そういう変わり目ほど、プロの意見をそのまま軸にすると外します。
審査員は、いなくならなくていい
誤解されたくないので書いておくと、審査員の芸人さんがいらないとは思っていません。
著名な人が出ていれば数字が取れますし、ネタの細かい技術を言葉にしてくれるのは、見ている側にとってもめちゃくちゃありがたいです。解説やリアクションの役は、むしろもっとあっていいと思います。引っかかっているのは、評価のベクトルのほうだけです。
キングオブコントのような賞レースは、ネタの技術を競う場でもあります。だから、プロが点をつける意味は大きいはずです。それでも最後に笑うのは、客席とテレビの前の人たちです。今年はその人たちに、敗者復活の1枠を決める権利が渡りました。リアルタイムで投票するのか、後日まとめて集計して発表するのか、やり方はいろいろあると思います。僕は、この枠がもっと広がっていいと思っています。
選挙は分かりやすいですよね。票が入った人が当選します。AKBの総選挙も、観客が評価する仕組みでした。視聴者参加型にして、見ている人が評価する構造にすれば、エンゲージメントも数字も出るし、見ている側も結果に満足できるはずです。誰か早く気づかないかな、と結構本気で思っています。
審査にモヤっとしたら
賞レースやオーディションの結果にモヤっとしたとき、僕は物差しを2本に分けて見ています。
1本は、プロがつけた技術の点数です。もう1本は、自分を含めた観客の手応え。この2本がずれるのは珍しいことではありません。ずれたときに、どちらかを間違いだと決めつけなくていいと思うと、見方がだいぶ楽になります。
自分が何かを作る側なら、軸は2本目に置きます。上司や詳しい人の講評は技術の参考にして、決めるのは、受け取った人がどう動いたかです。新しいものが出てきたときも、その市場が何で成り立っていて、受け手がどう評価しているかを見ていれば、変わり目はかなり分かります。
プロの作品でも素人の作品でも、最後に評価するのは素人です。素人の目のほうが肥えている、と僕は思っています。
制作プロセス
このコンテンツは、僕自身の一次情報をもとに制作しています。
出典1:プロは提供者であって、評価するのは観客だと思う
出典2:プロの意見は市場評価の指標にならない
出典3:ドパガキ向けのコンテンツを出すなら、自分がドパガキにならないといけない
AI活用
制作には、以下のAIモデルを使用しています。
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