勝手に付いたAIラベルは、消せば伸びるのか?

【2026年9月12日更新】この記事ではAIラベルを伸び悩みの主因と考えていましたが、9月8日にその判断を取り下げました。写真投稿なども同時に変えており、因果は切り分けられていません。表示方式の説明も訂正しました。その後の再検討はこちら。以下は当時の観測と見方の記録です。
Instagramの伸びが悪い時期がありました。
そこまでメインで運用していた媒体ではないので、しばらく放っていたんです。ただ、他の媒体と比べると明らかに数字が出ない。それが、写真の出し方をひとつ変えたら急に伸び出しました。写真だけではありません。その後に出した動画まで、すげえ伸びている。ストッパーが外れた、という感じです。
当時は、この伸び方の主因がAIラベルではないかと考えました。
僕の投稿では、AIで編集した画像にラベルが付き、反応が鈍い時期がありました。当時変えたのは、写真の出し方です。編集したあとにラベルが付かない形へ処理してから公開する、という写真運用へ切り替えていました。
当時は、ラベルの表示と、推薦での扱いを分けて考えようとしていました。
AIラベルには、ファイルに残る来歴情報などを使う経路があります。一方、推薦におけるオリジナル性の条件は別にあります。ラベルの表示だけで、伸びなかった原因を特定できるわけではありません。
その話をします。
ラベルに使われる来歴情報
Metaが写真へAIラベルを出し始めたのは2024年5月。当初の表記は「Made with AI」です。
これが揉めました。生成ではなく補正しただけの写真にも、同じラベルが付いたからです。写真家から抗議が出て、Metaは2024年7月1日に表記を「AI info」へ変えています。そのときの説明が、これらの指標にもとづくラベルは人々の期待と必ずしも一致しておらず、十分な文脈を与えられていなかった、というもの。
こうした指標にはC2PAとIPTCなどの来歴情報があります。ただし、Metaの説明では業界で共有されるシグナルに加えて本人申告も扱っています。僕が特定のアップロードで見た挙動を、ラベルの全方式の説明にはできません。
自分の違和感もそこにあります。原体験は自分なんです。虚偽でもないし、自分の一次情報を少し編集しただけなのにAI扱いされるのは、正直あまり納得できない。
誤解のないように書いておくと、まっさらな状態からAIで生成したのであれば、ラベルで制限されても全然いいと思っています。納得できないのはラベルそのものではなく、判定の当て方の方です。
消し方が商品になっている
この問題の答えは、もう出回っています。
日本語でも英語でも、「勝手に付く理由」と「消し方」の記事が並ぶ。メタデータを除去する専用のサービスまで商品になっていて、2026年に入っても更新され続けている。同じところで詰まっている人が、それだけいるということです。
僕の投稿では出し方によってラベルの有無が変わりました。ただし、メタデータを除去すれば必ず表示が消える、あるいは再生数が伸びるとは言えません。
ただ、ここで止まると2本目を見落とします。
露出を決めている側の線
2026年4月30日、Instagramが、他人のコンテンツの再投稿が中心のアカウントをアプリ全体で推薦の対象外にすると発表しました。それまでReelsだけだった扱いを、写真とカルーセルまで広げている。すでにフォローしている人には出るけれど、フィードやDiscoverには出なくなる。
このとき示されたオリジナルの定義が、けっこう重要です。自分で撮った写真や動画、自分でデザインしたもの、自分の視点を反映したもの。加えて、他人の素材であっても実質的に編集されていればオリジナルに入る。挙がっている例は、他のクリエイターの写真や動画へユーモアや解説を足して別物にしたミームです。逆に入らないのが、透かしを足すだけ、速度を変えるだけといった低労力の編集。
この定義に、AIという語は出てきません。線は「実質的な編集が入っているか」に引かれている。
自分がやっているのは、生のデータをAIへ渡して編集する運用です。素材そのものは自分のもので、そこへ編集を加えている。この定義の側では、オリジナルに入ります。一方、当時の僕の投稿では、AIで編集した画像にラベルが付きました。同じ1本の投稿が、片方ではオリジナルで、片方ではAI。2本の判定が別々に動いているというのは、こういうことです。
質を上げても伸びない理由
ラベルを外したあとに起きたことを、もう一度見ます。
伸びたのは、ラベルを外した写真だけではありませんでした。その後に出した動画も伸びた。だから自分は、Instagramはオリジナルコンテンツをすげえ評価しているんだと解釈しています。独自の編集や独自の解説が入っているものは露出が上がる。というより、そうでないものがブレーキされている。セーブされている感じがする。
ここが、たぶん多くの人の予想と逆です。
どんなにいいコンテンツを作っても、オリジナル性がなければ伸びない。逆に、どんなに質が悪くても、オリジナルであれば他より伸びる確率が高い。質を上げる方向にいくら努力しても、オリジナル判定の側で止められていたら数字は動かないわけです。
面白いのは、この体感が、さきほどの公式の定義とほぼ同じことを言っている点です。独自の編集が入っているか。独自の解説が足されているか。数字を見ていて出てきた線と、公式が文章で書いていた線が、同じところに引かれていました。
ただ、オリジナルの定義そのものは、正直かなり曖昧です。どこからが実質的な編集なのかは、投稿ごとに揺れる。だから自分は、線を当てにいくより、自分のフォーマットへ落とし込んでいこうと思っています。誰が見ても自分のものだと分かる編集と解説を、最初から入れておく。オリジナル性は、これからのSNSでメタなトレンドとしてもっと重視されるようになると見ています。
文章でも同じことが起きている
これは画像に限った話ではないと感じています。
SNSを分析していて顕著なのが、文章の側です。手動で入力した投稿は伸びるパターンがある一方、APIやAIだけで出した投稿は、インプレッションが頭打ちになることがある。何のコンテンツを作るかより先に、この関門を突破しないと話にならない。
正直に書いておくと、これは切り分けた実験ではありません。写真運用そのものを変えたタイミングですし、世界的なトレンドを見て動いた部分もあります。ラベルだけが原因だと言えるデータの取り方はしていない。運用していて出た体感と、数字の動きが一致した、というところまでです。
貼られる前に名乗る
自分がいま組もうとしているのは、ラベルを付けられる前に、自分のラベルを付けることです。
第一関門は、自分の一次情報へ先に署名を入れること。改変されても検知できる状態にしておく。第二関門は、その署名を後から上書きされないようにすること。別の署名が入る段階で拒否する仕組みが要るのかなと考えていますが、技術的にできるかどうかは、まだ分かっていません。
面白いのは、プラットフォームの側も同じ方向へ動き始めていることです。2026年5月、Instagramが「AI Creator」という自己申告のラベルをテストしていると報じられました。任意で、アカウントの設定からオンにすると、プロフィールに加えて投稿やリールにも表示される。貼られるラベルではなく、名乗るラベルです。
どっちで止まっているか
自分がどちらで止まっているのかは、出方が違うはずです。
ラベルの側は目で見えます。投稿にAI情報の表示が出ているかどうか。
オリジナルの側は、さきほどの発表の中にヒントがあります。推薦の対象外になっても、すでにフォローしている人には出る。ということは、そこで止まっているなら、既存のフォロワーからの反応は残ったまま、外からの流入だけが落ちる形になる。数字が全体的に沈んでいるのか、新規だけが沈んでいるのか。そこを分けて見た方がいい。
表示の有無と推薦の条件を分けて確認する、というのが当時の考えでした。表示を変えるだけで伸びの問題を解決できるとは、今は考えていません。